ゴンドワナ各地の地質と岩石
ゴンドワナ資料室-実物で見る地球の歴史40億年-
南極・オーストラリア・インド・スリランカ・マダガスカル・南部アフリカ・ネパールヒマラヤ・中国南西部の岩石
地球が誕生して46億年、はじめの6億年は岩石としての記録がほとんどありません。ここにはそれ以後40億年の歴史を示す資料が保管されています。
超大陸ゴンドワナ
今から約6億年前、南極・オーストラリア・インド・アフリカ・南米などが集合して、巨大な大陸「ゴンドワナ」ができたと考えられています。地球史の中で、大陸はどのようにしてでき、現在に至ったのか、私たちはそんな地球科学の大問題の解明を目指して世界各地の調査に取り組んできました。
2012年、とりわけ先カンブリア時代という古い地質時代の岩石を集めて、「ゴンドワナ資料室」を開設しました。この資料室には、約40億年前にさかのぼる東南極ナピア岩体をはじめ、南米を除くゴンドワナ関連地域における地質現象を記録した5000点余の標本が収納されています。地球史の上で世界的に著名な地域に、実際に出かけて行って採集した岩石がここにあり、引き出しを開ければ南極やインドなどの何億年も昔の岩石が、たちどころに比較対照できます。
ゴンドワナ各地の地質と岩石
ゴンドワナ資料室に収納されている標本の概略を紹介しましょう。「写真」または「詳細を見る」をクリックすると各地の説明に移ります。各地の説明は、2012年に出版された「山口大学理学部ゴンドワナ資料室標本カタログ、実物で見る地球史40億年」から抜粋したものです。詳細は同カタログを参照して下さい。
南極
本学教員がこれまで南極観測隊に参加して採集したもので、東南極のセルロンダーネ山脈からヤマト山脈~エンダービーランドなど、日本の南極観測の活動地域の大部分をカバーしています。この中には40億年前の地球史最初期の歴史をもつ岩石や6~5億年のゴンドワナ形成時にできた岩石が多数含まれます。西日本の南極研究の拠点となるコレクションです。
◎420室の向かって右手、壁側と中央右側のガラスケースを見て下さい。壁際の3段の木製棚に大型標本。ガラスケースは、手前よりオングル島の岩石→石灰岩起源の変成岩→泥岩起源の変成岩→塩基性火成岩とその変成岩→花崗岩及びミグマタイト→やまと山脈の岩石、向側奥からナピア岩体(40億年前)と高度変成岩→南極産の大型鉱物、の順。
オーストラリア
主として西オーストラリアに分布する35~25億年前の花崗岩類を中心に、堆積岩・変成岩および周辺の原生代変動帯の岩石がそろっています。この中には35億年前の最初の生命現象を含む堆積岩、36億年前の堆積岩・変成岩、地球史初期に特徴的な火山岩(コマチアイト)と代表的な金鉱床・鉄鉱床・ニッケル鉱床等の鉱山試料を含みます。
◎420室中央右側のガラスケースを見て下さい。中ほどから入口に向かって、ピルバラ・イルガン地域の岩石(35億年前~)→イルガンの金鉱床とナリア地域(地球最古の鉱物を含む?)→イルガン地域の始生代と原生代、の順。20cmにも達する針状カンラン石の形態を残したスピニフェックスコマチアイトの標本があります。
インド
のべ11回の調査と現地研究者の協力により採集され、インド各地の始生代(25億年前以前)・原生代(25~5.4億年前)の花崗岩・変成岩・堆積岩類がそろっています。30~27億年前の縞状鉄鉱床と関連岩石の系統的試料、34億~25億年前の花崗岩と変成岩を網羅します。特に南インドダルワール地域の先カンブリア時代岩石のコレクションが充実しています。
◎420室左手、壁側と中央左側のガラスケースを見て下さい。奥からインド最古期の岩石→ダルワール地域古期・中期(33~28億年前)の岩石→中期・新期(28~26億年前)の花崗岩・堆積岩・火山岩・縞状鉄鉱→高度変成岩とチャーノカイト(25~6億年前)→東ガーツ・ケララ・ラジャスタンの岩石、の順。
スリランカ
ゴンドワナ大陸を復元すると、昭和基地など日本の南極観測隊の活動地域のちょうど対岸が、スリランカ・南インドに相当します。インド・南極の原生代後期の高度変成岩との対比試料として重要な標本が含まれます。
◎420室中央左側の引出の上。5-6億年前のグラニュライト相高度変成岩とチャーノカイトなど。
マダガスカル
始生代の花崗岩起源の変成岩や6~5億年前の岩石など、南インドの岩石との対比試料が含まれます。
◎420室左手壁際に1点(8億年前の花崗岩)、他は引出の中。
南部アフリカ
ゴンドワナ大陸は、南極・オーストラリア・インドからなる東ゴンドワナとアフリカ・南米からなる西ゴンドワナが合体してできた、と考えられています。ここには、南部アフリカ東部の両者の境界地域から採集された岩石があります。
◎420室左手壁際、流し台の上のガラスケース。ジンバブエからモザンビークにかけて、始生代から原生代後期へ移り変わる境界地帯の花崗岩が展示してあります。他は引出しの中。
ネパールヒマラヤ
ヒマラヤ山脈は、ゴンドワナ大陸からインド陸塊が分裂・移動してアジア大陸に衝突した際にできた山脈と考えられ、大陸の分裂と合体を象徴する大山脈です。ここには、のべ4回11か月、全て徒歩の現地調査によって採集された標本があり、ネパールヒマラヤの主要地域をカバーします。
◎化学分析室奥の廊下の戸棚を見て下さい。