ゴンドワナ各地の地質と岩石

スリランカ
Sri Lanka

スリランカ

Hghland complexの景観

Sigiriya。Highland Complexの岩山
ミグマタイト質片麻岩、Sigiriya
ざくろ石黒雲母片麻岩、一部チャーノカイト化。SL07

スリランカは、海岸部を除いて大半の地域が先カンブリア時代の基盤岩類から構成される。これらは、構成岩石の特徴により、西からWanni complex、 Highland complex、 Vijayan complexに区分される。Wanni complexは、ミグマタイト質~花崗岩質片麻岩やザクロ石黒雲母片麻岩などが多い。 Highland complexは、charnockiteや花崗岩質片麻岩、泥質片麻岩(khondaliteなど)のほかに、大理石や珪岩を含む。 Vijayan complexには花崗岩質~ミグマタイト質の岩石が多い。変成度ではVijayanとWanniが角閃岩相、Highlandがグラニュライト相とされているが、実際に採集された岩石を見るとWanni complexにもcharnockiteやグラニュライト的な岩石が多く、角閃岩相~グラニュライト相と言ったほうが良いように思われる。

Highland complexには、グラニュライト相変成岩類やcharnockite が発達する。チャーノカイトcharnockiteとは、簡単に言えば、斜方輝石を含む花崗質岩であり、felsicであるにもかかわらず暗灰色をした岩石である。普通の花崗岩はH2Oのある環境でできるのに対して、H2Oに乏しい高温条件(グラニュライト相)でできると考えられる。また露頭において、部分的に(斑紋状に)チャーノカイト化した部分を含む岩石-incipient charnockite(初生的な、なりかけのチャーノカイトという意味)が各地に認められる。以上のようなSri Lankaの岩石には、南部インドやEastern Ghats帯のグラニュライト相変成岩類と共通した性質が多い。

年代的にも全域的に6~5億年前のPan-African変動を強く受けており、この点でも南インドのKeralaや東南極のリュツォホルム岩体との共通性がある。細部を見ると、Highland complexには、Ndモデル年代やジルコンのU-Pb年代に始生代基盤の存在を暗示するデータがあり、他の2帯より起源が古い可能性がある。

本資料室には、1989年に大和田正明が廣井美邦千葉大学教授を代表者とする海外学術調査に参加し、本吉洋一極地研究所教授ら日本人研究者と現地研究者とともに採集した試料が収納されている。(cf. Hiroi and Motoyoshi, 1990)

参考文献

  • Hiroi, Y. and Motoyoshi、 Y. eds. (1990) Study of geologic correlation between Sri Lanka and Antarctica. 151p.
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