ゴンドワナ各地の地質と岩石
マダガスカル
Madagascar
マダガスカル島は、面積約60万k㎡、グリーンランド、ニューギニア、ボルネオに次ぐ世界第4番目の島であり、日本の1.5倍ある。アフリカ大陸とはモザンビーク海峡により隔てられる。地質的には対岸のモザンビーク帯と共通した性質が多いが、文化的・民族的にはむしろはるか東方の東南アジアとの関連が深いといわれている。島の東側に南北方向の中央高地があり、2500mを超える山がある。首都アンタナナリブAntananarivoやAntsirabeなどの主要都市は高原上にある。中央高地東側のインド洋側は急で、アフリカ側に向かって緩やかである。アフリカ側の海岸部には古生代以降の堆積岩類が分布し、保存良好なアンモナイトなどを産することで有名である。
中央高地一帯から東海岸にかけては、先カンブリア時代の基盤岩類が分布する(Rambeloson et al., 2003)。アンタナナリブ周辺から北東部一帯には、始生代~原生代の岩石が分布し、25億年以前の岩石やグリーンストン帯もあるが、各地に8億年から6~5億年代の岩石が知られている。アンタナナリブの石切場では、Dharwar cratonのKabbaldurgaとよく似た岩相と斑紋状のチャーノカイトが観察できる。高地の中央部には、花崗岩~ミグマタイト質の岩石が多く分布し、8億年代の花崗岩体がある。南部一帯には、原生代後期の角閃岩相~グラニュライト相の変成岩が分布する。
このようにマダガスカルの先カンブリア時代基盤岩には、南インドと同様の始生代クラトンがあるとともに、全域的にPan-African変動の影響を受けている。
本資料室の標本は、2008年アンタナナリブ大学で開かれたシンポジウムに付随した現地巡検において、著者が有馬 眞・石川正弘氏(横浜国立大学)らとともに採集したものである。
参考文献
- Rambeloson, R.A., Yoshida, M., Ramasiarinoro, V., Le Duc, L. and Ralison, B. (2003) The Central Granites-Gneiss-Migmatite Belt (CGGMB) of Madagascar: the eastern Neoproterozoic suture of the east African orogen. Gondwana Res., 6, 641-651.